
歌詞を見て、すぐにこれは二人三脚でチームaikoを創り上げてきた千葉さんのことを歌ったのかな、と思いました。
そりゃ青空も青く見えるわけがないわけで。
サビの部分もそうなのだけど、特に、"髪の毛のこととかすごく気にしていたのに" は、悲鳴をあげました。 過去に千葉さんからaikoに対して、髪型に関する提案をしていたエピソードがあるのを私が強く覚えているから。
ただ、それが青空に関係しているかは本人のみぞ知る、なので、すみません。 ほっといて曲の話をします。
この青空で、メロンソーダも手掛けたトオミヨウさんとタッグを組んだのは正解だったと思います。
今後のaikoの作曲がトオミさんの例えばファンクでプリンスっぽい編曲が馴染むかどうかは別として、
実際今までの編曲でaikoの曲を聴いたときに、aikoが作曲をしている姿をあまり浮かべられなかったことが 多かったことにも気づきました。 それだけ、もしかしたら編曲の方に頼り切っていたことが多かったのかもしれない。
そう思うと、『飛行機のかまいたちみたいなイメージ』、というaikoの発言を受けて ストリングスがついたりした、
というエピソードのように、 aikoから編曲に関して指示が最近はあまりなかったのかなぁ、とか思ったり。
ともあれ、トオミさんの編曲のおかげで、ピアノアレンジやその他の音色に装飾をそこまで付けることなく、
aikoの作る音楽の良さがはっきりとしたように感じました。
その点、近年やりがちだった編曲での音の足し算を引き算にできたのは正解だったと思うし、
私にはブルーノート云々に関して知識がほぼないけれど、 歌詞と曲やコードが今までで一番連動しているようにも感じました。
例えば、「なんだよあんなに好きだったのに〜バァカァ〜みたいだな〜〜」まで、 切ないだけではなくて、ちょっと怒っている感じも伝わってくる。 ドラムの音の使い方も歌詞通りでびっくりしてしまう。 ハイハットのタ!からスネアのバン!になり、そして最後の最後はダン!と終わる。 透明ドロップのアウトロみたいに「仕事だって嘘ついたね〜」って少しネチネチ言うことがあっても、 こんな風にはっきり怒っているように聞こえるのって、今までなかったんじゃないかな。
あと、Aメロの最後の「あなたに出逢える前の自分に戻れるわけが」「ふとした時に剥がれた思い出抱きしめる日が来るわけが」の"ない"という言葉の省略は秀逸だなぁと思います。エモさを増幅させていますし、ピアノの弾き語りだときっとスムースになるであろうBメロへの切り替えも、編曲によってさっぱりさが出ているし、それで無理やり閉ざされた感じを醸し出しているように思います。
もし、長年付き合ってきており、支持を得ているであろう島田昌典さんが青空を編曲したとしたら、 もっと可愛らしくて切ないポップスの印象になるんだろうな。
しかしながら、イントロの「触れてはいけない手を〜」入りからのシンセの"ペレペッペペッペ〜”の展開は 取ってつけたような印象が少し感じられました。
それでも、シングル曲にするには必要で、 所謂トリッキー展開と言われ続けているaikoらしさを表すようなものかもしれないし、 その要素で青空が『青空』に見えなくなるのかも。
そして、今回のシングルは収録曲の3つそれぞれで編曲者が違うのもポイントだと思います。
『愛した日』はハイレゾを先に買ってよく聴き込んだせいか、
CDで聞くとハイハットの音がめちゃくちゃデジタルっぽい (30Hz以外、4kHz以降の空間がまるでないみたい)上に
音量がやたらでかくて私は辛かったです。
特に、佐野康夫さんのドラムは各パートのチューニングや音の強弱に一心を燃やしているお方なので、 ブーストすることでその音が潰れてしまうのは個人的に辛いんです。 もしかしたら佐野康夫狂信者故の発言でしかない気がするんですけど…すみません。
OSTER PROJECT編曲の欠点をあげるとしたらここと、 どの楽器も全員主役感マシマシでaikoの歌の存在が消えそうになるところ。 要するに足し算、ボカロ作曲者や現代の日本のミュージシャンにありがちな プログレを超えた要素の多さゆえのJ-pop、というものなのでしょうか。
例えば、ピアノの音数が増えると、ジャジーな要素も増え、オシャレさも生まれるのは確かですが、 aikoの言葉数の多い歌となると話は別です。例えばファッションで柄の組み合わせをするにしても足し引きのバランスが必須です。 ゴロゴロブランドモノばっかりを身に着けると本質が失われることもあります。 だからと言って、全部アースカラーで揃えてもつまらなくなるのはなんとなく想像がつきますよね。 要はそんな感じなのです。
それでも、愛した日は惹きつけられる曲で、ようやくaiko×OSTER PROJECTの呼吸が合って、馴染んだように思います。 もしかしたら珍しく歌詞が少ないが故に引き算になった結果、上手くいったとも捉えていいかもしれません。
家の中と外の寒暖差でできた曇りガラスに垂れる水滴を眺めているようなエロさを感じます。
え?エロくない?実際私もそういう窓を見つけたらすぐ絵を描いちゃうタイプだから、それもわかりますよ。(?)
「たまにあなたがとても恋しくなるよ」っていうはじめのフレーズがもうね、恐ろしい。 "たまに"、時々なんですよ?「あなたもあたしも止めなかったし」。 それから2番、「途中で黙ったあの日の帰りみたい 書き足せなかった余白みたい」ってことは、 要するに予め一線を超えられないと解っていた駆け引きの歌、ココアの続編かもしれない、なんて思ったり。
ある種呪いの歌って言えばいいのかな…。
最近、一人カラオケで毎度絶対この歌を歌います。 自分の感情と完全に切り離して歌えるので気持ちが楽というのが正しいのか。
aikoにとってはどうかはわかりません。 しかしながら名曲が生まれてしまったのは間違いないから、 デジタル版だけに留まるのではなく、CDのパッケージの中に入って本当によかったです。
カップリング曲のこいびとどうしに、は、単純に遊んでらー!と思いました。
遊んでる曲といえば、昔だったらゴーゴーマシンとかなのかな…でもそれ以上に遊んでると思いました。
なんてったって軽い!曲が!ボーロ感!わらべ唄!川嶋可能さん、私は未だに掴みきれないお方なのです。
もしかしたらある意味aikoの編曲で塩梅を一番よく分かっている可能性もある気がします。
あと、aikoの口笛はテレビゲーム、Smooch!以来?
そんなことを言い出したら私は 大好きなスカート澤部さんとの親和性を語りだし、ポニーキャニオンへの降伏を認めてしまうことになるので留めておいて。
とにかく、これからもいろんな実験をしてほしいです。
aikoご本人もまだやってないことがたくさんあるとも、会報でおっしゃっていたような気がするので。
みんなのうたデビューのaikoも見てみたいなー。